うつ病は遺伝する可能性がある?

遺伝によるうつ病になる可能性

自分自身がうつ病になった場合、子供もなってしまう可能性が高いのか、あるいは親族にうつ病患者がいる場合、自分もうつ病になる可能性があるのかと、そもそもうつ病は「遺伝」するのか?という心配が、ついて回る人もいるのではないかと思います。

この件に関しては、これまでのうつ病と遺伝の研究から、全く無関係とは言えないようです。

例えば、うつ病の患者が家族にいる場合、また過去にいた場合、そうでない家族と比較してうつ病の発症率が高いことがわかっています。

親子または兄弟姉妹の直系の血縁者がうつ病だと、家族内での発症率はそうでない家族に比べて2~3倍も高いとされています。

また子供のときに、養子にだされた人を調査した研究報告によると、育ての親がうつ病になったとき養子がうつ病になる確率に比べると、生みの親がうつ病になった場合の実の子供がうつ病になる確率はずっと高いといいます。

さらに、双子とうつ病の関係についての研究もあります。同じ双子でも、二卵性双生児よりも一卵性双生児の方が発症率は高く、その一卵性双生児においては片方がうつ病になると、もう片方が発症する確率は30~90%と、幅はあるもののかなり高い数字になっています。

一卵性双生児は遺伝子が同じで、二卵性双生児は違うという事実からしても、遺伝と深く関係していることが伺えます。ただ遺伝子だけがうつ病の原因だとすると、一卵性双生児の1人がうつ病になれば、もう1人も必ずうつ病を発症する事になりますが、その確率は約40%と報じられています。

このことから、必ずしも遺伝子だけがうつ病の原因であるとは言えないのです。うつ病の発症は、ある程度遺伝子との関係はあるものの、体質やストレスなど他の心理的要因が幾つも重なって発症するものと考えられます。

うつ病と遺伝子の研究について

キングス・カレッジ・ロンドンで働く科学者たちは、うつ病は一つの悪性遺伝子によって引き起こされていると考え、DNAの部分にうつ病の原因となるものが含まれていると述べています。

そこで、うつ病をもった2人以上の兄弟のいるイギリスの家族約800世帯、アメリカの家族91世帯、フィンランドの25世帯にDNAの調査を実施しました。その結果、うつ病の兄弟にはDNAの同じ箇所に同じ遺伝変異があったことを示し、子供は親からうつ病の原因となる物質を引き継いでいることを暗示しているというものです。

 米エール大学の研究チームは、2012年の10月に、うつ病を発症するメカニズムにおいて、重要な役割を担っている遺伝子を突き止めたとして、英医学誌『ネイチャー・メディスン』に発表しました。

同研究チームによると、うつ病と診断された後に死亡した21人の遺伝子と、健康な人18人の遺伝子を比較し、「MKP-1」と呼ばれる遺伝子をつきとめました。

この「MKP-1」は、神経細胞の生存と機能に不可欠な脳内化学物質「MAPK」の連鎖を遮断する役割をもっているといいます。論文では、この「MKP-1」による連鎖の遮断が、うつ病の原因となる神経伝達異常の主原因か、少なくとも大きな要因である可能性が高いと結論づけています。

 また、マックス・プランク研究所の研究チームは、うつ病と関係のある遺伝子の1つを特定したと報じています。1万5000人の被験者を調べたところ、うつ病を発症した患者においては、SLC6A15という神経細胞内でアミノ酸を輸送するタンパク質を発現する遺伝子の働きが、海馬内で弱くなっていることを発見しました。この遺伝子が、海馬内で抑えられることによって、神経回路の働きも抑えられ、うつ病が発症されるのではないかとしています。

まとめ

上記のように、うつ病と遺伝子の関係は、昔から言われている「うつ病はこころの病気」という範囲のものではなく、脳・遺伝子にも深く関係していることが、どんどん解き明かされています。

このことから言えることは脳・遺伝子の影響により、性格も相まって心身がすり減って、うつ病になってしまうといったところではないでしょうか。